膵島移植は体に害の少ない治療法ですが、長期生着のためには強力な免疫抑制が必要です。また、ヒト膵島を必要とするため、ドナー不足が深刻で、だれでもどこでも受けられる治療法になっていません。海外では、微小なマイクロカプセル化膵島を多数腹腔内へ移植する方法が試みられていますが、カプセル化素材に対
する異物反応などのために、安定した治療成績が得られていないのが現状です。
この研究で患者の生活や他の研究にどのような波及効果があるか(期待されるか)
免疫抑制の必要がない細胞/組織移植が実現します。ヒト膵島にも応用可能ですが、バッグが壊れない限り細胞を漏らすことなく回収できますので、異種感染症が危惧されるブタ膵島や腫瘍形成の恐れがある ES・iPS 細胞から作った膵島様組織の治療応用では最適の移植法です。肝臓など他の病気にも使える可能性もあります。
この移植システムができれば、ブタ膵島移植の前臨床試験を開始することが可能となります。また、未分化細胞から分化させた膵島様組織の研究も一気に臨床へ向けた現実性を帯びたものになります。
※以前のタイトルは「ブタ膵臓によるポリビニルアルコール(PVA)マクロカプセル化膵島(MEIs)の研究(」2010年度)ですが、PVAを使用しなくなったので変更されています。